三人の姉妹のおはなし

1月30日、三人姉妹のソワレを観てきました。

まずは観終わってからTwitterで愚痴を垂れてしまって申し訳なかったです。殆どの人はちゃんと観ていたし静かだったんだけど、どうにも気になる人がいて。衝動的に書いてしまったのは、ごめんなさい。乃木ヲタじゃない可能性も十分にあるんだけど。

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 さて、アントン・チェーホフさんといえば私は以前「24番地の桜の園」を観に行きました。どーにも頭の悪い私には難しい話で、今回も一発で理解するには苦労するだろうなと思いました。案の定「三人姉妹」も難しかったわけですが私なりに感じたこと、演技で好きだと思ったところがあったので少しばかり書こうと思います。原作読まなきゃダメだな、やっぱり…。

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まずこの話の中には「ご機嫌ななめ」というフレーズが度々出てきます。登場人物たちは皆、元々高級軍人の一家で何かをすることに自分の手を使わない人たちばかりでした。お茶も入れなきゃ、洋服も運ばない。それでも今の過去と比べて廃れてしまった生活にいつも「ご機嫌ななめ」なんです。故にイリーナはモスクワに帰ることを求めます。モスクワは「煌びやかな生活」をしていたところだから。でも結局モスクワに戻ったところで「過去」には戻れないんですよね。当たり前ですが過ぎた日々は取り戻せないんですよ。時間は狂う事なく過ぎて、いつか私たちは「思い出」になって、いつか忘れ去られていく。だけど「100年後の世界はもっと良くなってるのかもしれない」とヴェルシーニン中佐は言いました。皆が探していた「生きること」ってやっぱり未来を創る事なんじゃないかなぁ。過去を振り返るんじゃなくて、今を見て進むこと。正解は分からないけども。

もう一つ、この話の人々は基本「誰かに話を聞いて欲しくて」でも「自分以外のことを聞こうとしない」人でした。台詞を借りれば「どーでもいいや」ってやつ。めちゃくちゃ厄介だけど、めちゃくちゃ人間の本能というか、自己中心性が浮き彫りになってて。でもそうして自分も、自分の意見も守ってたのかなぁなんて思ったりしました。特にオリガね。彼女がいつか破裂してしまいそうで、凄く心配だったよ。

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長女オリガは「生きることの意味」を求めた人。 優しくて忙しくてきっとストレスも多くて「頭が痛いわ」と言うことでしかその辛さを外に出せない、全てを自分の内に秘めてしまうタイプ。衛藤美彩さんはとにかく声が良くて、台詞がスって入る。ただオリガは他2人と比べて感情の起伏が薄いから、若干単調になりぎみかなぁ。いや、それがオリガなんだけど。あとすぐ妹の頬、髪、腰に手を触れるのは衛藤美彩感があってよかった。この人に膝枕されたい。あんたは幸せになってくれ。

次女マーシャは「愛」を求めた人。ワガママで癇癪起こしがちだけど、きっと純粋な女の子。そして伊藤純奈はヤバい。常に憂いのある雰囲気で、ふっと笑うと可愛らしくて。そしてヴェルシーニンさんとの別れのところ、正直鳥肌立った。キスを2度して、寂しそうに離れて、その時の彼に向ける眼差しと彼がオリガの手の甲にキスしようとした時のあのアレやばすぎ(語彙力)彼女の目はヴェルシーニンさんしか捉えてなかった。足に縋り付いて泣くところの演技も泣きすぎて過呼吸になりかけるところももっと見たい…あの低い声で声を荒げるところも、旦那への態度も全部好きだった…

三女イリーナは「労働」を求めた人。だけど実際やってみると夢だった世界とはかけ離れてて、クタクタになって。それでも「モスクワ」に行けば幸せになれると信じてた。圧倒的妹。久保史緒里さんは表情豊かでニコニコしてたかと思えば、辛そうに泣いてたりして、役柄的にも1番感情を出してくれていた。イリーナが男爵の死に対して「分かってた」というところ、胸が苦しくなったよ。彼に対して「愛」がないと言われてたけど、実際のところどうだったんだろう。

 

とにかく三人の良いところは声だ。

他の形でまた彼女たちの演技を見てみたいと思う。読めたら原作を読んで、何とかこの話を飲み込みたいな。しかしこの三人姉妹は求めていたものを手に入れることが出来たのだろうか。100年後の私たちは、幸せだよ。

 

おわり。