夢と現実のおはなし

※若干ネタバレを含みますご注意ください

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井上小百合さん出演のSLANGを観てきました。

この物語で最も核となるのが「言葉」です。言葉は記号的な文字を組み合わせ、お互いがその意味を理解した時、「言葉」になります。言葉が無ければ、そもそもの概念が崩れてしまうような当たり前な存在です。言葉が無ければ、今このような文章も書けません。ましてや私の感情を伝えることも表す方法も無いわけです。

しかし人間は感情と言葉を分けることが出来ます。内心は嫌と思いながらも、言葉では「いいよ!」と言えます。嘘だってつけます。この気持ちを「怒り」というのか、「怒っている」からこんな気持ちになるのか、鶏と卵どちらが先なのか迷うように感情と言葉は意外にも分離されていて曖昧なものです。そして紡がぶつかった壁もきっとそれだと思います。バクのように台本にはない「感情」を言葉の海から探して見つけようとした。しかしその答えは紡の中にしかありません。

 

スラング : 特定の社会や階層、または、仲間の間だけに通じる語や語句。

 

どんなに親しい間柄でも伝わらない言葉はあります。言葉から伝わらない感情があります。人間は伝えたい感情を言葉に込めることができますが、相手の耳に入るのは所詮「言葉」だけです。「察する」と言ったりもしますが…それは時に意図してない方向へ受け取られてしまうことがあります。言葉は薬にも凶器にもなる、ということなのです。伊都ちゃんの畳み掛けるような最後の言葉は紡にとってどちらになったのでしょうか。どんな感情で、抱きしめていたのでしょうか。救いになれば、いいのにね。お兄ちゃんとお医者さんの衣装は白、伊都ちゃんと刑事さんは黒だったことが胸に刺さったよ…

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可愛らしいオネムちゃんはとっても言葉に敏感で、柔らかく時に変な英語も使っていたけど、ここにも「言葉」かぁ…と思うとかなーり深いですね、この舞台。現実と虚構を行き来するので、最初はついていけるか不安でしたが思っていたよりはすんなりと飲み込めました(勿論勝手な解釈なんですが)ちなみにそれぞれの本については、どういう風に解釈しようか考え中です。

私はさゆちゃんの演技するときの息遣いが好きなので、近い距離で見ることができて嬉しかったな〜。少しだけどふざけてるところも見れて良かったです。とにかく近かったんだ…あ、ニコ生で楽日やるっぽいので、是非!

 

あぁ、この気持ちを、君にどんな言葉で伝えようかな。握手だけで伝わるかな…(笑)