「ピアス、あけたくない？」
卒業前ってのは多分そんなもんなんだと思うけど、私も高校卒業を目前にして友達に言われた言葉に即答で「あけたい」と答えた人間です。JK最後だし詐欺ってあるよね、あるのよ。
3月頭の帰り道、単位制なので午前で授業を終えて友達がわざわざ逆の電車に乗り、私の地元まで一緒に来てくれた。ピアスの開け方ってスマホでググって、とりあえず路面店のドラッグストアに入って2人でマキロンとピアッサーを買った。ちょっと慣れない重さのビニール袋を片手に、そのドラッグストアの広い駐車場に併設されてた多目的トイレ（今思えば本当に良くないのだけれど人通りの少ないとこだったので許して欲しい）に2人で入った。全然使われてなかったのか電灯が切れかけてて暗くて、ちょっとだけ陽の光が入るようにドアを開けたままにしたのを覚えてる。見よう見まねでとりあえず持ってたアイライナーでお好みの点を書き、マキロンで消毒し、一回深呼吸した。「いくよ」「思いっきり頼んます」とクールポコ並みの速度で会話して、次の瞬間にバチンッてデカい音がして、耳にピアスがついてた。これがマジのマジのファーストピアスである。その後互いに両耳あけて「卒業式までバレないようにしなきゃねー」って言いながら帰った。そうそう、帰り道に団子を食べた。で、ちゃんとすぐに学校で顧問にバレた。これが１回目。
大学に入ってすぐ、前回と同じ友達に「ピアス増やしたいんだけど」と言われて「ええで！」と返した。今度はそっち行く、と答えてすぐに飛んで行って、その子の家で右耳にもう一つ増やした。ピアスは奇数がいいらしい、という言葉を信じて片方だけにした。なんか、卒業したわりにすぐに会えたね〜って嬉しくて、ピアスを見る度に思い出した。これが2回目。
多分二つ目開けたての頃だし、ちゃんとオタクすぎる
大学4年の時にバイト仲間と「朝活」と言うのをやっていて、これはもうすぐで社会人になるから朝から活動してみようの会であった。元々バイトが23時まであって、その後一人暮らし男子の家でダラダラしてゲームして3時に帰るみたいな生活を全員してたので、人間に戻るための苦肉の策だった。やったこととしては「コメダに行ってモーニングを食べる」「朝から集まって卒免のために学科の勉強をする」「タコスパーティーする」「朝から新宿で脱出ゲーム」みたいな、ちょっと無理矢理だったけどそんな感じ。その中でたまたま付き合ってくれてた2コ下の後輩が「ピアス開けたいんです」と言いだしたのだ。そりゃあアンタが開けたりなさい、と謎の流れで指名され、朝からドラッグストアに寄り、我が家に集合。やるかー！と思ったらその子が「やっぱ無理かも（ ; ; ）」となったので、なんか知らんけどその子のピアッサーと余分に買ってた自分用ので左右一つずつ増やした。「なんでお前が開けるのを全員で見てんの」と笑われたけど、3人を前にしてピアスが増えた。これが3回目。
朝から閉じ込められてんのにセーラームーンのロンT着ててウケる
社会人になって某黒木さんの自撮りを見て無性にピアスが開けたくなって、左耳の軟骨とロブの間みたいなところに増やしたのが4回目。（ちなみにこの間に肺に穴をあけ、界隈で「ピアスあけたんだー」「肺にも穴開けたけど」というネタで弄られるようになる）
そして初めて部署異動と新天地での勤務となり、気合入れで左の軟骨に開ける。ピアッサーで失敗したが、どーにかこーにかして、これが5回目。
ついさっき、3回目に開けてその後閉じていたところが復活するという奇跡があったので思い出してみたけど、ちゃんと覚えてるんだよな。一緒に開けた人のこと、1人で開けた日のこと、深夜のカラオケで開けてあげたアイツのことも全部全部、ちょっとの痛みと一緒に覚えているんだよ。秋だね。
